本作はハリウッドで長年活躍したキャスティングの先駆者マリオン・ドハティ(1923-2011)を中心に、キャスティング(配役)という仕事に迫るドキュメンタリーです。絶妙なセンスと直感的な先見の明を頼りに、白人男性至上主義が根強く、役者を単純にタイプ分けしていた古いスタジオの配役方法から、ユニークで多彩なアンサンブルキャストへ移行する道筋をつけ、革新的なアメリカン・ニューシネマの到来を告げたマリオン。驚きと笑いに溢れたエピソードの数々、そして切なくも感動的なラストまで...その人生を通して映画史に新たな光を当てます。
スターたちが自ら語るキャリアを変えた“あの役”、そしてアメリカ映画が輝き出した時代が鮮明に蘇る貴重な証言が満載!主な出演者にマーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ウディ・アレン、アル・パチーノ、ロバート・レッドフォード、クリント・イーストウッド、メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ダスティン・ホフマン、ジョン・ヴォイト、グレン・クローズ、ジョン・リスゴー、ベット・ミドラー、ジョン・トラボルタ、バック・ヘンリー、リチャード・ドナー、ジョン・セイルズ、テイラー・ハックフォード、ノーマン・ジュイソン、ピーター・ボグダノビッチ、デヴィッド・ピッカーほか。そして現在活躍する後進のキャスティング・ディレクターたち。
2012年に米国で公開されキャスティングへの再評価と、その後にアカデミー賞が取り組む変革(2025年の第96回以降は作品賞候補に“インクルージョン(包摂性)”が評価条件に加わる等)にも重要な役割を果たしたと評価された注目作です。2019年に英国アカデミー賞がキャスティング部門を新設したことも話題となっており、今回が日本初公開となります。
1923年生まれ。大学卒業後にTVの配役アシスタントに就き頭角を現す。『裸の街』『ルート66』を手掛け、1964年『マリアンの友だち』で長編映画へ。代表作『俺たちに明日はない』『明日に向かって撃て!』『真夜中のカーボーイ』『ダーティハリー』『スティング』『レニー・ブルース』『レッズ』『グリース』『ガープの世界』『キリング・フィールド』『リーサル・ウェポン』『フルメタル・ジャケット』『バットマン』など。2011年 マンハッタンの自宅で死去。享年88歳。全米キャスティング協会は彼女の功績を称え、毎年授与する栄誉賞の一つに彼女の名を冠している。
1960年代のデビュー当初からマリオン・ドハティと交流が深い映画人の1人。マリオンのアシスタントだったエレン・ルイスと現在も組み撮り続けている。主な監督作は『タクシードライバー』(1976)、『レイジング・ブル』(1980)、『グッドフェローズ』(1990)、『アビエイター』(2004)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)、『沈黙-サイレンス-』(2016)、『アイリッシュマン』(2019) など。
アクターズスタジオで演技を学び、1960年代後半から映画に出演。NYの東30丁目にあったマリオンの事務所に通う常連俳優で、その頃出会ったマーティン・スコセッシ監督の初期作品を機に評価を高めた。主な出演作 『ゴッドファーザーⅡ』(1974)、『タクシードライバー』(1976)、『ディア・ハンター』(1978)、『恋におちて』(1984)、『アンタッチャブル』(1987)、『マイ・インターン』(2015)、『ジョーカー』(2019) など。
NYのナイトクラブ等でのスタンダップコメディを経て、『何かいいことないか子猫チャン』(1965)で監督デビュー。ほぼ全ての監督作のキャスティングは、マリオンと、その後を引き継いだジュリエット・テイラーが担当。主な監督作は『アニー・ホール』(1977)、『マンハッタン』(1979)、『ハンナとその姉妹』(1986)、『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996)、『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)、『ブルージャスミン』(2013)、『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019) など
オフブロードウェイの舞台を見たマリオンが配役した『ナタリーの朝』(1969)で映画デビュー。二本目の『哀しみの街かど』(1971)で主役を演じ、続く『ゴッドファーザー』(1972)でオスカー候補へと快進撃で認められた。 主な出演作品『狼たちの午後』(1975) 『スカーフェイス』(1983) 『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』(1992) 『ワンス・アポン・タイム・イン・ハリウッド』(2019) 『ハウス・オブ・グッチ』(2021) など。
『明日に向かって撃て!』(1969)でポール・ニューマンとのダブル主演にマリオンに抜擢されブレイク、ハリウッドのトップスターに。その時の役名に因んだ“サンダンス映画祭”を1978年に創設して世界的映画祭へと育てた。監督としても『普通の人々』(1980)でオスカー受賞。主な出演作品 『スティング』(1973) 『追憶』(1973) 『大統領の陰謀』(1976) 『愛と哀しみの果て』(1985) 『ニュースの真相』(2015) 『さらば愛しきアウトロー』(2018) など。
クリント・イーストウッド / メル・ギブソン / ダニー・グローヴァー / ダスティン・ホフマン / ジョン・ヴォイト / グレン・クローズ / ジョン・リスゴー / ベット・ミドラー / ロバート・デュヴァル / ダイアン・レイン / ジョン・トラボルタ / ジェフ・ブルッジス / シビル・シェパード / エド・アズナー / バック・ヘンリー / トニー・ビル / リチャード・ドナー / ジョン・セイルズ / テイラー・ハックフォード /ノーマン・ジュイソン / ピーター・ボゴダノビッチ / ジェリー・シャッツバーグ / アーサー・ヒラー / デヴィッド・ピッカー/ テリー・セメル ほか
『真夜中のカーボーイ』© 1969 JH Productions Inc. All Rights Reserved. 『ダーティハリー』© Warner Bros. Entertainment Inc. 『夢のチョコレート工場』© Paramount Pictures.All Rights Reserved. 『スティング』© 1973 Universal Pictures. All Rights Reserved. 『ガープの世界』© Warner Bros. Entertainment Inc.『リーサル・ウェポン』© Warner Bros. Entertainment Inc. 『バットマン』© Warner Bros. Entertainment Inc.
2008年、トライベッカ映画祭で上映されたドキュメンタリー“Guest of Cindy Sherman”で長編監督デビュー。以降、サンダンス、カンヌ、ベルリン、トロント、ベネチア、サンセバスチャンなど多くの映画祭でドキュメンタリー映画“Thank You for Your Service” (2015) ”Davi's Way” (2016) ”This Changes Everything” (2018) “Dean Martin: King of Cool” (2021) を上映。またプロデューサーとしても、ラミ・バーラニ監督作品など優れたインディペンデント作品を製作している。
都道府県 | 劇場 | 公開日 |
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東京 | シアター・イメージフォーラム | 上映終了 |
東京 | アップリンク吉祥寺 | 上映終了 |
東京 | シネマ・チュプキ・タバタ | 上映終了 |
東京 | 新文芸坐 | 上映終了 |
東京 | 目黒シネマ | 上映終了 |
埼玉 | 川越スカラ座 | 上映終了 |
埼玉 | 深谷シネマ | 上映終了 |
神奈川 | 川崎市アートセンター | 上映終了 |
神奈川 | CINEMA AMIGO | 上映終了 |
神奈川 | シネマ・ジャック&ベティ | 上映終了 |
富山 | ほとり座 | 上映終了 |
長野 | 上田映劇 | 上映終了 |
愛知 | 名古屋シネマテーク | 上映終了 |
大阪 | シアターセブン | 上映終了 |
京都 | 京都みなみ会館 | 上映終了 |
神戸 | 塚口サンサン劇場 | 上映終了 |
福岡 | KBCシネマ | 上映終了 |
大分 | 別府ブルーバード劇場 | 上映終了 |
宮崎 | 宮崎キネマ館 | 上映終了 |
鹿児島 | ガーデンズシネマ | 上映終了 |
沖縄 | 桜坂劇場 | 上映終了 |
2012年/アメリカ/89分/カラー/DCP/原題「Casting By」
出演:マリオン・ドハティ、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ウディ・アレン、クリント・イーストウッド、
ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、メル・ギブソン、ジョン・トラボルタ、グレン・クローズ
監督:トム・ドナヒュー
製作:トム・ドナヒュー、ケイト・レイシー、イラン・アルボレダ、ジョアナ・コルベア
配給:テレビマンユニオン 配給協力・宣伝:プレイタイム
© Casting By 2012
マリオンへのコメントFor Marion Dougherty
※1991年、彼女をよく知る映画人たちがアカデミー協会栄誉賞授与のキャンペーンを起こした経緯は今作に描かれている。